4588 オンコリスバイオファーマ 規制環境の変化への対応とアルツハイマー病への挑戦

昨年、再生医療等製品の分野では、先駆け指定下で条件付き期限付き承認を得て保険収載されていた製品が、市販後臨床試験で効果を立証できず承認取り消しとなったものが2例出現した。その後、先駆け指定に関する規制環境は激変し、「先駆け総合評価」のなかで、市販後臨床試験の詳細も一定の審査を受けたうえで、条件付き期限付き申請に至る方向へ変わったようだ。

最近の低分子・中分子創薬の分野で注目されている3大分野は、タンパク質分解剤(Protein Degrader)、ペプチド(Peptide)、RNA阻害剤(特にSplicing阻害剤)である。オンコリスがトランスポゾン社に導出しているOBP-601は、近年様々な神経変性疾患の原因として明らかになってきたCryptic Splicingを抑制し、LINE1の生成を防ぐ薬剤である。

アルツハイマー病は、アミロイドβとタウが原因であるとされる。アミロイドβがマッチで、タウが薪と例えられている。これまでは、アミロイドβの生成を防ぐためBACE阻害剤が開発され、アミロイドβの脳脊髄液中の濃度は低下したが、全く症状の改善にはつながらなかった。また、さまざまな抗アミロイドβ抗体(レカネマブなど)が開発されたが、アミロイドβが蓄積したあとでは効果は薄い。現在では、アミロイドβを除去するミクログリア細胞の働きが注目されている。一方、タウの線維化は、アミロイドβによるリン酸化が関与して(?)、Cryptic Splicingが発生し、線維化が進行して、神経が破壊されることが指摘されている。OBP-601はまさに、このCryptic Splicingを抑制することにより、アルツハイマー病を抑えようとするものだ。TDP-43も、Cryptic Splicingを抑制する作用に関連している。詳しい内容はこちらのレポートを参照ください。

 

 

4575 キャンバス 薫風かおる季節までには朗報か?

キャンバスのすい臓がん三次治療を目指している免疫着火剤CBP501 欧州でのPhase3開始を目指してEMA(当局)とのやり取りが続いているが 2025年に入ってプロトコルの詳細に関する照会が来ているなど前進中。

また、CBT005は、ペプチドを用いて正確にがんに到達するよう工夫しているTLR作動薬で、創薬の世界で注目されている分野PDCの一種である。TLR作動薬は、抗がん剤として注目されてはいるが、実例は、一部の特殊なケースを除いてない。なぜ、PDCにしたのか、その疑問に応えるキャンバス独自のノウハウを考えてみたい。レポートはこちら

4586 メドレックス 今年はいよいよ大型品がPh2入りの予定

2024年大型品として期待されるチザニジン・テープ剤に関し、自社開発でPh2入りの予定です。また、米国Alto社が神経変性疾患を対象に開発中の品目(Alto-101)は、将来的に大型商品となる可能性が考えられるが、ここに、共同開発(おそらく製剤開発)としてメドレックスが参加している。リドカイン・テープ剤も、今年夏には、三度目の正直で新薬承認を得ることが期待され、年内上市の予定で準備が進行中である。詳しくは、レポート参照。

4575 キャンバス 欧州へ活路を求める

キャンバスがすい臓がんを対象としたCBP501 のPh2試験で好成績をあげたことは既に昨秋のESMOで発表された通りでしたが、FDAはPh3へのステップアップを認めずPh2bの実施を要求しました。FDAによると3剤併用のなかで各剤の有効性を検証せよとのことでしたが、結局、FDAに認められたPh2bは3剤併用と医師選択治療群の2群比較でした。3剤併用の効果は認めるものの、各群9例だったので、もう少し症例を増やして結果を見たいというのが本音でしょうか???キャンバスはFDAの指示に従ってPh2bを行う準備をしつつも、欧州でPh3が出来る可能性を模索し、2027年の上市を目指します。欧州当局(EMA)への治験申請はあと2-3週間以内に提出し、その後、両者のやり取りがあって、年央には治験へのGoサイン(治験申請への承認)を得たい模様です。すると年内には最初の患者組み入れまで行けるかもしれません。レポートはこちら

4588 オンコリスバイオファーマ OBP-601 M&Aの場合600百万ドルの可能性も

OBP-601は 逆転写阻害剤なので、レトロトランスポゾンの一種である遺伝子の異常伸長リピートの蓄積を抑制する。ところで、C9-ORF72変異型のALSは遺伝子の異常伸長リピート蓄積が、RNA前駆体のバリアントを生成し、神経炎症につながることが分かっている。また、PSPやアルツハイマー病も、タウのアイソフォームが、異常なリン酸化した状態となり、アミロイドβの毒性を発現することで発症すると言われている。そのアイソフォームが生成される原因は、タウ遺伝子の選択的サブスプライシングであるが、一般に、サブスプライシングは遺伝子の異常伸長リピートによって惹起されると考えられている。つまり、OBP-601によって、遺伝子の異常伸長リピート(LINE-1)が抑制されれば、C9-ORF72型のALSやアルツハイマー病、あるいはPSPなども発症が抑制されると考えられる。OBP-601を開発するトランスポゾン社が大手製薬会社にM&Aされる可能性は十分にあり、その場合、オンコリスバイオファーマ社にも一定の資金がもたらされる可能性がある。このレポートでは、その場合の金額について考察している。

 

 

4588 オンコリスバイオファーマ 良好なトップラインデータを公表

食道がんを対象としたOBP-301の放射線併用療法に関するピボタル試験トップラインデータが公表されました。きわめて臨床的に意義のある結果と評価できると考えられます。次の焦点は、免疫チェックポイント阻害剤を保有する海外大手製薬会社との共同研究開発計画(胃がん・胃食道部接合がんの2ndLine)の確定と良好なトップラインデータが判明した食道がん放射線併用療法の国内販社との契約です。いずれもそう遠くない将来に浮上するものと期待しております。

4586 メドレックス リドカインテープ剤 年内再申請へ

メドレックスの現状をレポートにまとめました。残念ながら、リドカインテープ剤は9月に承認となりませんでしたが、年内にデータを再解析して再申請の予定です。他のパイプラインも、選択と集中の下、水面下で進行中です。次の注目ポイントは、チザニジンテープ剤のPh2デザイン公表かと思います。