昨年、再生医療等製品の分野では、先駆け指定下で条件付き期限付き承認を得て保険収載されていた製品が、市販後臨床試験で効果を立証できず承認取り消しとなったものが2例出現した。その後、先駆け指定に関する規制環境は激変し、「先駆け総合評価」のなかで、市販後臨床試験の詳細も一定の審査を受けたうえで、条件付き期限付き申請に至る方向へ変わったようだ。
最近の低分子・中分子創薬の分野で注目されている3大分野は、タンパク質分解剤(Protein Degrader)、ペプチド(Peptide)、RNA阻害剤(特にSplicing阻害剤)である。オンコリスがトランスポゾン社に導出しているOBP-601は、近年様々な神経変性疾患の原因として明らかになってきたCryptic Splicingを抑制し、LINE1の生成を防ぐ薬剤である。
アルツハイマー病は、アミロイドβとタウが原因であるとされる。アミロイドβがマッチで、タウが薪と例えられている。これまでは、アミロイドβの生成を防ぐためBACE阻害剤が開発され、アミロイドβの脳脊髄液中の濃度は低下したが、全く症状の改善にはつながらなかった。また、さまざまな抗アミロイドβ抗体(レカネマブなど)が開発されたが、アミロイドβが蓄積したあとでは効果は薄い。現在では、アミロイドβを除去するミクログリア細胞の働きが注目されている。一方、タウの線維化は、アミロイドβによるリン酸化が関与して(?)、Cryptic Splicingが発生し、線維化が進行して、神経が破壊されることが指摘されている。OBP-601はまさに、このCryptic Splicingを抑制することにより、アルツハイマー病を抑えようとするものだ。TDP-43も、Cryptic Splicingを抑制する作用に関連している。詳しい内容はこちらのレポートを参照ください。